とどまる、感じる、ひらく

固まった思いを手放すために

2026年09月17日 19:09

固まった思い


あなたの中には、どんな「固まった思い」がありますか? 

「私は、人を愛することができない」 

「私は、人を信じることができない」 

「私は、上司が嫌いだ」 

「私は、仕事ができない」 

「どうせ私の人生は、思い通りにはいかない」 

「なぜか、いつも私ばかり損をする」 


そんなふうに、自分でも気づかないうちに、心の中で決めつけていることはないでしょうか。 

それは、あなたが最初からそういう人だったからなのでしょうか。

 

私は、そうではないと思っています。 

その「固まった思い」には、必ずと言っていいほど、そこに至った理由があります。 

 

「どうして私ばっかり」と思っていた 


私自身にも、ずっと心の中に残っていた思いがありました。 

振り返ってみると、思い出すのは嫌な記憶ばかり。 


「あんなことがあった」 

「こんなこともあった」 


普通に生活しているだけなのに、なぜか自分だけがうまくいかない。 

兄と同じことをしても、自分だけが怒られる。 

友達と同じことをしても、自分だけが怒られる。 

自分ばかり、割に合わないことを頼まれる。 

そんなことが、何度も何度もありました。

 

そのたびに、 

「どうして私ばっかり」 

「俺が何をしたっていうの?」 

そんな気持ちが、自分の中でうごめいていました。 

一度だけなら、「たまたまだった」と思えたかもしれません。

 

でも、それが何度も繰り返される。 

すると、その出来事一つひとつに対する感情が、少しずつ積み重なっていきます。

 

そして、いつしかそれは、 

「私は、こういう目に遭う存在なんだ」 

という一つの思いになっていきました。 

 

思いは、いつの間にか「自分自身」になっていく 


最初は、 

「どうして私ばかり」 

だったはずなのに。

 

いつの間にか、 

「私は大切にされない」 

「私は認めてもらえない」 

「私はうまくいかない」 

「私は愛されない」 

そんな思いに変わっていく。

 

そして、その思いを何度も経験することで、 

「きっと私は、こういう人間なんだ」 

と、自分自身についての固定観念になっていきます。 


でも、ここで一つ考えてみてほしいのです。 

その思いは、 

本当に「今のあなた」が決めたものなのでしょうか? 

 

その思いは、あなたが生きるために必要だったのかもしれない 


人は、幼い頃、自分一人では生きていくことができません。 

親や周囲の大人から守ってもらう必要があります。

 

だから、子どもの頃の私たちは、大人が思っている以上に、周囲の出来事を敏感に感じ取っています。 

怒られた。 

否定された。 

分かってもらえなかった。 

助けてもらえなかった。 

怖かった。 

寂しかった。 

悲しかった。

 

そんな経験が繰り返されると、 

「こうすれば怒られない」 

「こういう自分でいればいい」 

「どうせ何をしても認めてもらえない」 

というように、自分を守るための思いを身につけていくことがあります。 

それは、その頃の自分にとっては必要だったのかもしれません。

 

だから、 

「どうして私は、こんな考え方をしてしまうんだろう」 

と、今の自分を責めなくてもいいのです。

 

その思いは、何も理由がなく生まれたわけではないからです。 

 

でも、過去の自分を守った思いが、今の自分を苦しめることがある 


問題は、その頃に身につけた思いを、 

大人になった今も持ち続けていることです。

 

もう、昔とは環境が違う。 

もう、あの頃の自分ではない。 

それなのに、 

「私は大切にされない」 

「人は信用できない」 

「私は何をやってもうまくいかない」 

という思いが、何かあるたびに出てくる。 


すると、今起きている出来事ではなく、 

過去の記憶を通して、今の世界を見てしまう 

ことがあります。 


目の前には何も危険がないのに、なぜか怖い。 

大切にしてくれる人がいるのに、信じることができない。 

うまくいっているのに、「どうせまたダメになる」と思ってしまう。

 

頭では、 

「もう大丈夫」 

「そんなことは分かっている」 

と思っているのに、心や身体はそうならない。 

それは、今のあなたが弱いからではないのかもしれません。 

 

「固まった思い」は、手放していい

 

私は、 

もう必要のなくなった「固まった思い」は、手放していい 

と思っています。

 「辛い」 

「苦しい」 

「悲しい」 

「どうせ自分なんて」 

「私はこういう目に遭う人間だ」 

そんな思いを、ずっと持ち続けなくてもいい。 

あなたは、もう自由になっていいのです。

 

でも―― 

「手放したい」 

と思っているのに、なかなか手放せないことがあります。

 

なぜでしょうか。 

怖いから。 

危ないから。 

心許ないから。 

その思いを手放してしまったら、自分を守れなくなるような気がするから。 

だから、手放せない。

 

でも同時に、 

「もう、この思いはいらない」 

ということも、どこかでは分かっている。 

この矛盾の中で、苦しくなってしまうのです。 

 

手放そうとしていないのは、「今のあなた」ではない

 

そんなとき、思い出してほしいことがあります。

 もしかしたら、 

その思いを手放そうとしていないのは、今のあなたではないのかもしれません。

 そこにいるのは、 

まだ小さかった頃のあなた。 

理由も分からないまま怒られたあなた。 

「どうして私ばかり」と悲しんでいたあなた。 

助けてほしかったのに、助けてもらえなかったあなた。 

分かってほしかったのに、分かってもらえなかったあなた。

 

その頃のあなたが、 

「これは危ない」 

「これを忘れてはいけない」 

「また同じことが起きるかもしれない」 

と、一生懸命に自分を守っているのかもしれません。

 

だから、無理やり手放そうとしなくてもいい。 

「もう忘れなさい」 

「もう大丈夫でしょ」 

と、自分に言い聞かせる必要もありません。

 

まずは、 

「あの頃の私は、そうするしかなかったんだね」 

と、過去の自分を理解してあげる。 

そこから始めてもいいのだと思います。 

 

過去の記憶を、行き場のないままにしない 


過去の出来事は、もう変えることができません。

 でも、そのときに感じた悲しみや怖さ、悔しさを、 

ずっと自分の中に閉じ込めておかなければならないわけではありません。

 

行き場をなくしていた感情や記憶に、もう一度居場所をつくってあげる。

 「本当は悲しかったんだね」 

「本当は怖かったんだね」 

「本当は分かってほしかったんだね」 

「ずっと頑張っていたんだね」 

そうやって、過去の自分に寄り添ってあげる。

 

すると、今まで「自分を苦しめるもの」だと思っていた記憶が、少しずつ違ったものとして見えてくることがあります。 

 

暗闇を歩いているように感じるあなたへ 


もし今のあなたが、 

「なぜか生きづらい」 

「同じようなことを繰り返してしまう」 

「人を信じたいのに信じられない」 

「愛されたいのに、人を遠ざけてしまう」 

「自分を好きになれない」 

そんな感覚を持っているのなら。

 

もしかすると、あなたの中に、 

まだ手放すことができずにいる「固まった思い」 

があるのかもしれません。 

あなたは暗闇の中を歩いているように感じているかもしれません。

 

周りは明るいのに、 

なぜか自分の周りだけ暗い。

 

でも、その暗闇は、 

あなた自身が暗い人間だからできたものではありません。 

過去のあなたが、一生懸命に自分を守ってきた結果なのかもしれません。

 

だからこそ、その暗闇を責めるのではなく、 

「なぜ、この暗闇ができたのだろう?」 

と、少しだけ自分の内側を見てあげてほしいのです。 

 

あなたの中にある「固まった思い」を解放する 


固まった思いは、あなたの人生そのものではありません。 

それは、これまで生きてくる中で身につけたもの。

 

だから、必要がなくなったときには、手放していくこともできます。 

そして、その思いを手放したとき、 

今まで見えなかったものが見えてくることがあります。

 「本当は、こんなふうに生きたかった」 

「本当は、こんな自分でいたかった」 

「もっと人を信じてみたかった」 

「もっと自由に生きたかった」 

そんな、本来の自分の思いです。

 

あなたは、辛い思いを抱え続けるために生きているわけではありません。

 

もう、固まった思いを持ち続けなくてもいい。 

あなたは自由でいい。 

光の中を歩いていい。

 

もし一人ではなかなか手放せないものがあるのなら、誰かと一緒に、その記憶を丁寧に見つめていく方法もあります。 

セッションでは、無理に過去を掘り起こしたり、忘れようとしたりするのではなく、今のあなたの中に残っている感情や身体の反応に寄り添いながら、 

「なぜ、私は今もこの思いを持っているのだろう」 

というところを一緒に見つめていきます。

 

過去のあなたを責めるのではなく、 

「あの頃の自分は、そうすることで自分を守っていたんだ」 

と理解してあげる。 


そして、もう必要のなくなったものを、少しずつ手放していく。 

もし今、あなたの中にも「もう手放したい」と思っている固まった思いがあるのなら。 

その思いを、一人で抱え続けなくても大丈夫です。

 

あなたの中にある光を、もう一度取り戻すために。 

一緒に、その記憶を解放していきませんか。 


信暁(2026.9.17)