とどまる、感じる、ひらく

自分軸をつくる

2025年06月20日 12:36

 よく、自分軸が大事と言われたりしますが、自分軸とは何でしょうか。


 ネットで調べてみると「他人の評価や世間の常識に流されず、自分自身の価値観や判断基準に基づいて行動する生き方や考え方」と書いてありました。


 私が思うに「自分軸ができている」状態とは、自分自身の内面(肉体、精神、自分の感覚)的なものが、外部のものからの影響によって揺らいだとしても、しっかりと立て直すことができるということではないかと思います。そこがしっかりしていれば、少々周りの言動に惑わされたとしても、しっかりと自分の足で人生を歩んでいくことができるのだと思います。 

 

 自分軸をつくるとは、言い換えると「自分の芯をつくる」ということではないかと思います。自分が日々の生活の中で、何か精神的なことで不安定になったとき、いつでも戻ることができる「安心・安全」の場所を自分の中につくることが、「自分の芯をつくる」ことだと言えるのではないでしょうか。それさえあれば、少々問題が起こっても自分を見失なわないのではないかと思います。 

 

 「安心・安全」の場所とは、「自分がここにいればホッとして心の広がりを感じる」というような、心とからだが「安心・安全」を感じられる場所ということです。ホッとする感じは、自然の中や自分の好きな場所、好きな人やものなどを思い浮かべると出てくると思います。そのとき、からだの感覚を感じてみても、違和感なくホッとし続けることができている、ということが必要になってきます。どういうことかということを、例を挙げて説明したいと思います。 

 

 例えば、昔好きだった景色があり、そこに家族とよく出かけ、楽しい思い出もあったところを思い出したとします。その景色を思い浮かべていると、楽しい思い出がよみがえり、お腹にホッとする感覚があったとします。からだの感覚としてお腹の広がりも出てきたときに突然、自分でも思いがけない嫌な感覚が出てきたとします。それにより自分のホッとできる場所であったものが、一変するということがあります。このときに、出てきた嫌な感覚にフォーカスし、その感覚を追跡していくと、忘れていた大きな怪我や、親にこっぴどく怒られた記憶などが出てくるかもしれません。いずれにせよ、嫌な感覚が出てきた場所は、「安心・安全」を感じられる場所ではないということです。 

 

 このことから言えることは、自分が思っているホッとできる場所は、必ずしもホッとできる場所ではないかもしれないということです。ホッとするものが出てきた場合は、そのホッとするものをしっかり感じて、何か違和感を覚えないかという直感めいたものがあるかどうかも同時にみる必要があります。この直感めいたものが全くないものこそ、「安心・安全」と心から言えるものなのです。 

 

 私の場合は、実家から車で30分ぐらいのところにあるダムの公園が一人で居られるホッとできる場所でした。その場所を思い出すとホッとする気持ちがあったので、この場所を思い返すことが自分の「安心・安全」の場所であると思っていたのですが、ホッとしているとお腹に嫌な気持ちが出てきました。この嫌な気持ちが親に関することであると解ったときには、ここは「安心・安全」を感じる場所ではないんだ、と理解しました。 

 

 いま私の「安心・安全」の場所は、いまの家族とともに住んでいる場所を思い浮かべ、お腹でホッとする感じを感じながらそこに留まることです。そうすると、元の家族(親兄弟)を思い出すこともありません。今の家族しか知らないこの場所で留まり、感じることが私にとっての「安心・安全」の場所なのです。 

 私の場合は、住んでいるところが「安心・安全」を感じられる場所なので、訪問リハビリをしていたとき、仕事から最寄り駅に帰ってきただけでホッとしていました。仕事で嫌な気持ちになってもすぐ切り替えられ、次の日に嫌なことを引きずらずに仕事ができました。仕事で問題があった場合も、この「安心・安全」の場所があったのでうろたえることなく対処できました。それだけではありません。問題が起こったときなど、職場の人を信用して相談したり任せたりということもできるようになりました。 


 大阪に住んでいた頃は、「私には、誰も味方になってくれる人は居ない、自分のことは自分でしなければいけない」とずっと思っていたので、「安心・安全」の場所ができるとこれだけ自分の内面も、他人への対応も変わるのだと驚いたものです。 

 

 このように、自分軸(自分の芯)というものは、誰でもつくれるのです。自分の芯をつくるためには、本当の「安心・安全」の場所を自分自身の中につくるということです。

 自分自身の「安心・安全」の場所を見つけたときは、それを定着させるために常にその「安心・安全」の感覚に気づくことが大事です。そうすれば、自分の中で「自分はどこに居ても大丈夫」というものが育っていきます。そこまで行くと、もうどこに居ても大丈夫です。自分の芯が出来上がったのです。 

 

 この自分の芯というものは、一見すると弱いもののように感じるかもしれません。しかし、私はそれでいいと思っています。自分の芯は、強くても何かあれば折れてしまうよりも、弱そうにあっちに倒れこっちに倒れしながらも、決して折れることなく、また元のところに戻ってくるという、本当の意味での強さがあると思います。なぜなら、この自分の芯は誰から与えられたものではなく、自分でつくり上げたものだからです。 

 

 世界に一つしかない本当に強い「自分の芯」をつくりあげてみませんか? 

 

信暁(2025618