とどまる、感じる、ひらく

大人の自分がインナーチャイルドを癒す(Vol1)

2025年11月14日 19:41

インナーチャイルドに気づく 

 あなたの中に、まだ泣いている、あるいは悲しんでいる小さな自分がいるとしたら、どうしますか? そのまま見ないふりをしますか? それとも、そっと抱きしめてあげたくなりますか? 

 おそらく、多くの人が「抱きしめたい」と感じるのではないでしょうか? 

 この自分の中で泣いている、あるいは悲しんでいる子は、インナーチャイルドと呼ばれています。あなたの中にいるインナーチャイルドが、静かに助けを求めているのです。 


インナーチャイルドとは 

 インナーチャイルドとは、小さい頃に自分の中に置き去りにされた、小さな声や感じ切れなかった痛みのことです。誰にも言えなかった「助けて」が、今も心の奥で、そっと握りしめているのです。その頃の感覚は、時を経ても、私たちの中に残っているのです。 

 たとえば、日常生活の中でふとした瞬間に落ち込んだり、過去の記憶がよみがえることにより苦しくなるとき。 

 そんなとき、あなたの中の小さな子が「怖い」「苦しい」とささやいているのかもしれません。 

 

私が出会ったインナーチャイルド 

 私の場合は、家族との過去の痛みを感じていたときに、その子に出会いました。その子は、真っ暗い部屋の片隅に膝を抱えてうつむいて座っていました。その子に声を掛けても返事はなく、横に座っても固まっていました。 

 その沈黙は、深い心の傷の現れでした。 

 その子は、安全も安心も感じられないまま、ただじっと耐えていたのです。 


安全と安心を届ける 

 インナーチャイルドを見つけたときというのは、大体このように無反応なことが多いです。 

 インナーチャイルドは傷ついているため、安全と安心を感じられていないのです。だから、インナーチャイルドに出会ったときは、まず「ここは安全だよ」「もう大丈夫だよ」と安全と安心を感じる空気をつくってあげることが大切です。 

 それは言葉だけでは届きません。では、うすればいいのでしょうか? 


「好きなこと」をする 

 「安全である」という思いは、自分の心が満たされてくると育ってきます。 

 なので、先ずは、自分が小さいときに好きだったことや楽しかったことを思い出してみてください。それを今のあなたがもう一度やってみるのです。 

 たとえば、絵を描くことが好きだったら絵を描いてみるのもいいです。プラモデルを作る、手芸をする、どんなものでもいいので一人で楽しめるもので構わないのでやってみてください。 

 音楽が好きなら、自分の部屋でゆっくりと聴くのもいいです。 

 もし、何をするのも気が重たいなら、空を眺める、アロマオイルのいい匂いを部屋で楽しむ、絵を飾るだけでもいいのです。今は、オンラインショップでいろいろなものが買える時代です。自分が喜びそうなものを買って楽しむのも一つの方法です。 

 

好きなことが「安全」をつくる 

 こうして、 小さいときの自分が好きなことで満たされてくると、インナーチャイルドは大人の自分に対して「この人は安全なんだ」と認識してくれるようになってきます。そして、少しずつ心を開いてくれます。うつむいている子が、目を合わせてくれるかもしれません。何も言わずに、そばに来てくれるかもしれません。しかし、その時に、焦らないことが肝心です。この時にはまだ、安心は感じられていないので。

 

安心は「続けること」で得られる 

 安心とは、「不安を感じないこと」です。 

 今まで蔑ろにされてきたインナーチャイルドは、「また見放されるんじゃないか」と、常に怯えています。だから、本当に安心を感じるためには、好きなことを続けることです。自分が好きなことをしていてワクワクする気持ちを取り戻すことです。その気持ちが、インナーチャイルドには「自分の気持ちを大切にしてもらっている」と感じはじめ、やがて深い安心へとつながっていくのです。

 

まだ、見せられない本当の自分の姿 

 この安全と安心が、インナーチャイルドを癒す土台となってきます。しかし、この時点では、泣いていた自分、悲しんでいた自分は見せてくれません。その子が本当の気持ちを見せるまでには、もう少し時間はかかります。 

 自分が、インナーチャイルドに対してどう寄り添えばいいのか、癒すために何が必要かということを、次回のVol2でお話したいと思います。

 

信暁(2025年11月14日)