とどまる、感じる、ひらく

初めてのセッションまでの猜疑心との葛藤

2024年04月14日 20:52

 私が、初めてセッションを受けるまでには、相当の時間がかかりました。「人に頼ってはいけない」「何でも自分でしなければ一人前のヤツではない」という気持ちが強すぎたために、悩みや苦しい気持ちも自分で対処しないといけないと思っていました。


 以前の自分は、悩みを抱えてしまったり、生きづらかったりするのは、自分が弱いからだと思っていました。だから、自分を変える方法をいつも探していました。

 そんなとき、本屋で『マーフィーの法則』という本に出合いました。それからは、マーフィーの本を手あたり次第読み漁り、そこに書いてある潜在意識に良いことを送り込むためにポジティブなことを思い続けるということをやりました。

 しかし、自分の根っこの部分にネガティブなことがあるため、なかなか良い考えが潜在意識にたどり着かず、思うような結果は出ませんでした。その他に、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』という本を買い、そこに書いてあることを実践してみましたが、こちらも思うような結果は出ませんでした。


 この頃、プロフィールに書いたように、結婚を考えている人と破局を迎えました。そして、初めて自分と向き合うようになったのです。

 職場を変え、2年後に理学療法士の専門学校に通い始めました。理学療法士の学校では、学生の時の未解決な人間関係の問題が噴出しました(この話は、また機会があるときに)。それにより、表向きは何とか取り繕っても、内面は激しい嵐が吹き荒れている状態で緊張の連続でした。実習のときには、うつ状態のため心理学の先生から心療内科に行ったほうがいいと言われたぐらいです。何とか卒業し、理学療法士として病院で働き始めましたが、この理学療法士の学校での経験が影を落とし、仕事は楽しいけれど精神的には苦しい状態が続いていました。


 あまりに苦しい状況が続くので、初めて心療内科を受診しようと思い、探し始めました。

 当時は大阪に住んでおり、心療内科や精神科の病院に対し、良い情報はあまり入ってきませんでした。それもあって、なかなか行こうという踏ん切りもつきませんでした。それだけではなく、自分の中にある変なプライドが一番邪魔をしていました。「自分よりも苦しい人はいっぱいいるのに、こんなことで心療内科を受診するのは弱いから」とか「これくらいはまだ何とか自分一人で解決できる」などと、行かない自分を正当化する考えがいつも頭に出てくるのです。

 でも苦しいから何とかしたくて、インターネットで自分の気持ちを楽にしてくれるようなブログを探しては読み、探しては読みを繰り返していました。そして1つのブログに到達しました。

 そのブログを読むと落ち着くというより腑に落ちる、自分の内面と似ている部分がよく表わされていたので、どんどん引き込まれました。その方は、横浜のほうでセッションなどもされていましたが、遠いのと結構お金がかかるためにあきらめていました。年に何回か高野山でも合宿のような形でワークをされているのを知り、お金はかかるが「一度受けてみようかな」と思い、ホームページから申し込みしようとしたときには、すでに締め切られていました。ようやく自分が決心して行こうとしたのに行けないとは、つくづく「自分は苦しむために生まれてきたのかなぁ」と自分勝手な考えをしていました。それでもそのブログを読んでいたら、ブログの中に手塚郁恵さん(元NPO法人マイセラジャパン初代理事長)について書いてあり、「どんなことをしているのかなぁ」と興味を持ち調べたところ、マイセラジャパンのホームページに行きつきました。


 ホームページで『自分を信じるレッスン』という本が出ていることを知り、本屋で探して読みました。そのとき初めてマインドフルネスというものを知り、やり方も書いてあるので自分でもやってみました。しかし、なかなか書いてある通りにはうまくできませんでした。

 マイセラでは、個人セッションやグループワークだけでなく電話セッションというものがありました。電話セッションがあるなら、それを受けようと思いましたが、いざ受けようとすると、また踏ん切りがつきません。それは、自分に猜疑心があることが一番の原因でした。どうしても疑ってしまうのです。

 「この程度の悩みで電話してくるなんて、と思われるのでは」とか「電話で適当にあしらわれたらどうしよう」などと、いろいろな考えがひっきりなしに湧いてくるのです。そうこうしているうちに半年が過ぎ、ようやく「何を言われても、どんなことになってもかまわない」と腹をくくり、電話セッションの予約をしました。そのときは、予約がいっぱいだったので日を改めてということになり、それから半月後に郁恵さんの電話セッションを受けました。

 セッションでは、いまの自分の悩みや苦しいこと、過去の出来事によって未だに苦しんでいることなどを話しました。セッション中は自分のことを否定されることもなく、親身にゆっくりと話を聞いてもらえました。いままでひとりで抱えていたことを他人に話して、初めて涙しました。こんな自分に対してしっかり向き合って話を聞いてくれる人がいるということを、初めて経験しました。


 電話を切ってから、からだの中が温かくなり安堵したのを覚えています。こんなことなら、もっと早くセッションを受けていればよかったと思いました。それだけでなく、心療内科にも早く行っていればよかったとも思いました。


 自分の悩みや人生の行き詰まりは、自分にしかわかりません。「悩みを見せてはいけない」「人に頼ってはいけない」といったことは、それまで生きてきた中で親や社会から植え付けられた観念でしかなく、本当の自分の気持ちではないはずです。だから、どうにもできない悩みがあったり、人生に行き詰っていたり、日々の生活で憤りを感じていたりするならば、早めに自分に合ったセッションなどを受けることをお勧めします。他人は自分が思うほど厳しい人ばかりではないのです。自分に対し本当に厳しいのは、自分自身なのです。


 私がセッションを受けたのは、自分の変なプライドのせいで、悩みや生きづらさを感じてから10年が過ぎていました。いまから、11年前の出来事でした。


信暁(2024年4月14日)