母の呪縛からの解放②(被害者メンタリティーマザー)
2024年05月04日 16:34
今回は、前回に続き「母の呪縛からの解放」ということで、タイプⅡ、被害者メンタリティーマザーについてお話しします。このタイプの母親は、常に自分が被害者であることを強調して生きています。
(この記事は『母の呪縛から解放される方法』(タツコ・マーティン著、大和書房)を参考にしています。)
タイプⅡ:被害者メンタリティーマザー
悲劇のヒロインを演じて子どもの同情を引き、自分の思い通りに子どもを操縦しようとする母親。「体が痛いから手伝って」「重いもの持てないの」「寂しくて死にたい」などと、自分を弱い立場において、子どもに自分の手助けをさせようとする。
この母親のもうひとつの特徴は、何でも他人や社会のせいにして、自分では一切責任を持たないこと。何かが起こったとき、他人に罪の意識を持たせる。
《被害者メンタリティーマザーの口ぐせ》
・あなたがいないと何もできないから、来てくれる?
・私みたいな人は誰も構ってくれないし、生きている意味がないわ。
・私がこうなったのは○○のせい。
・○○さえなければ、こんなことにならなかったのに。
《被害者メンタリティーマザーに育てられた人の特徴》
・上司などに注意されると、「どうして私だけが」と悲しくなる。
・責められると、悲劇のヒロインのように「かわいそうな自分」を演じてしまう。
・人に嫌な顔をされると、何とか相手の気持ちを変えようと、必死になってご機嫌伺いをするクセがある。
被害者メンタリティーマザーに育てられると、自分自身もいつの間にか被害者意識が植え付けられます。例えば、学生のときに掃除をさぼって先生に見つかったりすると、他の人は見つからないのに、先生は私にばっかり目をつけている、だから私は見つかった……と、自分したことを棚に上げて先生を悪者にしてしまったりします。
母親の持っているタイプが、タイプⅡだけなら、被害者意識だけで済みますが、タイプⅠも加わっているとそうもいきません。
私が訪問リハビリの仕事をしているとき、認知症の母親の面倒を見ている娘さん(次女)がいました。その母親は、タイプⅠとⅡを併せ持った方で、娘さんは結婚しておらず、ずっと実家で暮らしていました。
彼女のお姉さん(長女)は父親が甘やかして育てたということで自由奔放であったので、母親は、逆に次女である彼女をコントロールして厳しく育て、実家から離れられないようにしていました。それだけでなく、彼女に父親やお姑さんの悪口を聞かせては、「こんな人と結婚したから私は苦労させられた」「姑がいなければ私は自由にできたのに」と言っていたそうです。彼女はそういったことを繰り返し聞かされていたので、自分が母親の面倒を見なければいけないと思い込み、お姉さんは結婚して出て行っても、自分は実家に残り母親の面倒を見ていたのです。しかし、彼女は、自分一人で母親の面倒を見ていることに対し「なんで私だけが母親の面倒を見なくてはならないの」と度々言っていました。「私も、結婚して家から出てたら、こんなにしんどい思いをしなくてもよかったのに」とも。
このようにタイプが混ざった母親に育てられると、人生に及ぼす影響はより複雑になっていきます。
母親からの呪縛は、母親の何気ない一言から始まってしまいます。それが繰り返されることで、子どもの心の奥底に暗い影を落とします。
自分が被害者のような意識を持っているとするならば、今一度自分の心をのぞいてみるといいかもしれません。
次回は、タイプⅢ(完璧主義マザー)です。
信暁(2024年5月4日)