母の呪縛からの解放③(完璧主義マザー)
2024年05月07日 19:00
今回は、引き続き「母の呪縛からの解放」というテーマで、タイプⅢ・完璧主義マザーについてお話しします。このタイプの母親は、常に完璧でなければ認めることができず、子どもに対しても完璧な結果を出すことを求めます。
(この記事は『母の呪縛から解放される方法』(タツコ・マーティン著、大和書房)を参考にしています。)
タイプⅢ:完璧主義マザー
厳しくて批判的な母親。子どもがどんなに努力をしても、完璧だと思えなければ、その努力を決して認めない。
善人でなければ悪人、賢くなければバカ、成功者でなければ失敗者といったように、ものごとを白か黒かで判断するので、このタイプの母親に育てられると、子どもは常に緊張させられ、不安にかられ、リラックスをすることができない。
《完璧主義マザーの口ぐせ》
・絶対に○○しなきゃダメよ。
・そんなことぐらい、できなきゃダメよ。
・もっと頑張んなさい。
・ホントにバカな子ね。
《完璧主義マザーに育てられた人の特徴》
・自分を甘やかすことに罪悪感を覚える。
・やりたいことをやっているのに、達成感や満足感がない。
・リラックスするのが苦手で、常に緊張感から解放されない。
完璧主義マザーに育てられた子どもは悲劇です。母親の頭に中には、「子どもはこうあるべき」という理想像がはっきり描かれており、異常なまでにそれに固執します。だから、子どものやっていることには目もくれず、結果だけを見て、その結果が思い描いたことと違っていると、怒り出したりするのです。
例えば、テストで80点取ってクラスで1番だったとしても、けっして褒めてはもらえません。「あとこうしたら20点取れて100点だったのに」とできなかったことばかり責められ、頑張ってクラスの1番になったのに、そんなことには目もくれてもらえません。
他にもこんな例があります。子どもの箸の持ち方がおかしかったとしましょう。母親は「持ち方が悪い」と指摘して、正しい持ち方を教えようとします。子どもがなかなかできるようにならないと、いらいらと何回も同じことを言い、そのうち「何回同じことを言わすの」と怒り出します。あげくの果てには「あなたはバカで、物覚えも悪い子ね」と子どもが傷つくことを平気で言うのです。
このような母親に育てられると、子どもは常に緊張しながら母親の顔色を伺い、母親の言動に脅えながら生活することになります。ちゃんとできないと母親に認めてもらえないので、母親に認められようとして、必要以上に頑張ってしまいます。
成長するにつれ、頑張ることが当たり前となって、自分自身が緊張していることにも気づかなくなってしまいます。頑張ることが当たり前となってしまうと、少しでも気を抜くと自分を甘やかしているような気がしてしまい、罪悪感を覚えるので、気を抜くということも難しくなります。
たとえ自分がやりたいと思ったことをやっていたとしても、それが自分が好きなことをしているのか得意なことだからしているのかもわからなくなってしまい、達成感や満足感が得られなくなるということが起こってしまいます。無理して頑張っていると、自分をとことんまで追い込んで、見えない何かにがんじがらめに縛られてしまうのです。
もしあなたが、何かにいつも追われている感じ、急き立てられているような感じがするなら、それは頑張っているのではなく無理をしているということなのです。
こういった人は、「人にも頼らず頑張るのが自分」「自分はバカなので人一倍頑張らなくてはいけない」などと思っていたりするのですが、それは母親から植え付けられた考えにとらわれて、そう思い込んで生きてきてしまったというだけなのです。
こうしたことこそが、発達性トラウマだといえるでしょう。
この文章を読んで、自分も同じようなところがあると感じたなら、発達性トラウマである可能性があります。発達性トラウマに気づくことは、病気であると宣告されることとは違います。自分の人生をここから変えていく、自分の人生を取り戻すことができるという単なるシグナルです。
まずは自分が発達性トラウマであると気づくことが大事で、気づいた後、そこから自分の内面にいる自分自身と向き合うことが大切になってきます。そうすることで、しだいに自分の人生に変化が訪れてきます。その先には、自分の人生を取り戻し、生き生きとして生きている自分がいるのです。
次回は、タイプⅣ(劣等感マザー)について取り上げます。
信暁(2024年5月7日)