母の呪縛からの解放⑧(オールドファッションマザー)
2024年05月25日 12:09
今回は、引き続き「母の呪縛からの解放」というテーマで、タイプⅧ・オールドファッションマザーについてお話しします。このタイプの母親は、古風で保守的な考え、いわゆる男尊女卑的な考え方を持つ母親です。父親が威張っていて、母親がそれに耐えているような家で育った可能性が高いといえます。
(この記事は『母の呪縛から解放される方法』(タツコ・マーティン著、大和書房)を参考にしています。)
タイプⅧ :オールドファッションマザー
いつも男性から抑圧されているように感じたり、また実際に抑圧されていたりするので、表面的には男性を立てますが、無理をしているために、内心では男性に対して悪いイメージを持っています。自分の母親から「女性は経済的に豊かな男性と結婚し、専業主婦になって家庭を守ることが一番の幸せ」と教え込まれたオールドファッションマザーは、娘にも同じ考えを植え付けます。
《オールドファッションマザーの口ぐせ》
・男はろくでなしばかり。(表向きは男性に尽くしても、無理をしているので内心では男性嫌いなことが多い。)
・自分を出しすぎちゃだめよ。
・女の子らしくしなさい。
・男性に逆らっちゃダメよ。
・女は経済力のある男性と結婚すればいいのよ 。
・セックスの問題を母親に相談した場合「あなたが満足させなきゃダメよ」
《オールドファッションマザーに育てられた子どもの特徴 》
・夫や恋人を軽蔑しているのに離れられない。
・家事も育児も女性の仕事だと思っている。
・恋人や夫とのセックスが、どうしてもうまくいかない。
今では、このような母親は少なくなったように思いますが、このような考えの母親は一定数います。昭和の時代は、見合い結婚が主流で、男性は25歳から30歳、女性は25歳までに結婚するというのが普通でした。それだけでなく、結婚式当日まで相手の顔を知らないという人もいました。結婚した相手から常に「男を立てろ」「女性は男より3歩下がって歩け」などと言われても「黙ってついて行く」「口答えしない」というのが良い女性の条件でもありました。女性は、「いったん結婚すればどんなことがあっても実家に帰ってきてはならない」と親から言われるということもありました。男尊女卑が当たり前で、どんなことがあろうとも「妻は我慢をする」という暗黙の了解がありました。
オールドファッションマザーは、夫に対して思うことはあっても、「一人では生きていけない」「自分さえ我慢すれば家庭は上手くいく」という考えのもと、自分の本心を隠して生活している人が少なくありませんでした。だから、子ども特に娘に対して同じように女性というものをしっかりと認識させるために、「女性らしく」「出しゃばることはみっともない」「お父さんの言いつけは守りなさい」など言ったりしたものです。
こういった母親を見て育つと、自分は「同じようにはなりたくない」という思いが強くできてしまいます。自分は、「母親と違う」ということを強調したいため、恋愛や結婚の場面で自分にふさわしい人を選ぶよりも、自分の理想とする人を選んでしまいがちです。だから、たいていの人は、恋人や夫に不満を持っていたりします。
しかし、我慢するということを、母親から植え付けられているのと、何とかこの関係を改善しようと頑張ることから、なかなか離れられず執着してしまうということが起きてしまいます。
また、自分の母親を見ているので、結局「女性の私が」という感じで家事や子育てを頑張ってしまうということも少なくありません。愛よりも我慢するということに重きを置いているため、セックスも上手くいかないことのほうが多いでしょう。
こういった考えは、幼少のころから植え付けられているため、変えようと思っても、なかなか変えることは難しいでしょう。自分が、幼少のころから思っていた気持ちを表に出してあげることが必要です。母親のどういったところが嫌であったのか、母親から言われたことに対して、何が嫌で、今でも何に引っかかっているのかをしっかり思い出すことが必要です。思い出すといっても、頭には限界がありますので、母親のことを考えたとき、「からだがどう反応しているのか」ということを感覚で捉えるのです。そして、その感覚を感じていきます。感じることから、「自分は母親から愛ある言葉をかけてほしかった」「母親から愛がほしかった」というものも出るかもしれません。こういったことを、ゆっくりと一つ一つ丁寧にみていくのです。
そうすれば、自分が今までいかに自分を蔑ろにしていたかがわかります。それだけではなく、今の状態での自分の立ち位置が認識できます。それにより、自分がこれからどうすればいいのかに対して対策できます。
結婚していれば、離婚したほうがいいのか、このまま結婚生活を続けたほうがいいのか、恋愛や仕事、人間関係で悩んでいるなら、続けるべきか、辞めるべきか、解消すべきかそれぞれに対して良い選択ができます。
母親から受け継がれた負の遺産を清算し、自分の人生を確立するために、自分の過去に感じていた感覚を「いま、ここ」の状態で感じ手放していきましょう。
次回は、タイプⅨ「依存症マザー」です。
信暁(2024年5月25日)