自分の感覚をないものにしない
2024年08月12日 18:15
「過去は変えられない」。この言葉はよく聞きます。
確かに、過去は変えられません。「過去は変えられない」というのは、過去を思い出すと嫌な出来事であったり、嫌な感情・感覚を思い出したりしてしまうので、その嫌な感情・感覚などをひっくるめて「過去は変えられない」と言っている人が、私が出会った人の中では大半を占めます。こういった人の多くは、過去は変えられないから、今の自分、未来の自分を見つめて頑張っていくと言います。
確かに、過去を忘れ去ってしまって、現在や未来だけを見つめて人生を送れるならそれに越したことはありません。しかし、過去は何らかの形で出現してしまいます。そのときに、無理に過去をないものにしようとすると、反対に炙り出されてきます。そうなったときには、過去はより一層自分を苦しめることになります。そうならないためには、過去としっかり向き合い手放すことが必要となります。
今までも何回も書きましたが、私の場合は、幼少の頃に母親に騙されたことをないことにしようと努めてきました。30代の頃には、ジョセフ・マーフィーの本と出会い、そこに書いてあるマーフィーの法則に従って、「潜在意識に良いことだけを取り入れる」ということをやっていました。確かに、上手くいくこともありました。しかし、そのころ独り暮らしをしていたのですが、家族に会うとどうしても騙されたことが脳裏をよぎることが度々ありました。
30代後半で理学療法の専門学校に通い出してからは、専門学校での出来事が引き金になり、幼少期から学生時代に感じていた嫌な感覚が呼び覚まされました。過去のことが自分の人生に大きく影響していることがわかり、自分の過去としっかり向き合わなければ、いつまでも過去のことに縛られると思いました。それでマインドフルネスセッションを受けることにしたのです。
マインドフルネスにより、過去のその時の感覚を「いま、ここ」で思い出し、感じることによって手放していきました。それと同時に、嫌なことがあると吐き出すこともしていました。自分の場合は、嫌なことがあり、それと同じような出来事が重なって起きたとき、「どうして同じようなことが起こるのか」「この嫌な気持ちはどこから来ているのか」ということを思い返しながら、パソコンに思ったことをそのまま書き出していきました。そうすると、大抵は、過去に感じていた感覚が呼び戻され、その感覚も一緒に感じているということが起こっていました。こういったことを地道にやることより、自分の内面に嫌なものが溜まらなくなり、自分自身が楽に生活できるようになっていきました。
過去の出来事、特に家族とのことは、思い出さなくても感覚としてからだに残っています。だから、その感覚を残したままでは、病気となってからだや心に出たりもします。
その感覚を残さないためには、吐き出すことが必要です。私の場合は、マインドフルネスセッションと同時にパソコンに吐き出していましたが、友達や配偶者に聞いてもらえるなら、話すことで吐き出す方法でもいいでしょう。別に吐き出す方法は、人に悪意を向けるような方法でさえなければ何でもいいのです。ただ言えることは、嫌なことがあったとき、それをなかったことにしてしまわないことです。
たとえば嫌な人からメールあった場合、無視したりスルーしたりすることもあるかもしれません。けれども自分に向けられた言葉は、読んだり聞いたりした時点で自分の中に入っています。たとえそれを無視しても、からだはそのことを取り入れてしまっているので何らかの負の反応をしています。それをその場で感じてしまえばいいのですが、なかったことにしてしまうと、からだの中に溜まってしまいます。1回1回は、ほんのわずかなものだとしても、それが続けば、自分で自分のからだを痛めつけていることになり、病気になったりもします。だから、自分が嫌だと思っていても何らかの返事をすれば、それだけで吐き出していることになりますし、たとえスルーしたとしても、しっかり自分の嫌な気持ちを感じていれば、そのことが自分の中に溜まらなくなり浄化されます。
人間というものは、それほど耐え得るようにはできていません。うまく耐えることができたように思えても、からだや心はノーと言っています。そのノーを無視し続けると、からだや心を病んだり、何らかの依存症になったりといったことが起きてくるのです。
生まれてから今の瞬間までの感覚をからだは覚えています。自分の人生を自分の思い描いたものに近づけるためには、この感覚と上手く付き合っていくことが大事になります。
日々の生活のなかで起こる出来事とともに出てくる感覚は、ないものとするのではなく、その感覚をしっかりみてあげ、そして、寄り添い、必要に応じて吐き出すことが肝心です。そうすることにより、人生に変化が訪れます。
自分の人生を自分の思い描いたものにするために、自分の内面の感覚をみることをしませんか!
信暁(2024年8月12日)