コア・ビリーフ
2024年11月19日 17:07
以前お話ししたとおり、私の子ども時代には、何かにつけて家族から怒られる、家族が過干渉である、躾と言いながら虐待まがいのことをされる……といったことが多々ありました。子どもの私にとっては、親や兄達は絶対的存在だったので、生きていくためには置かれた状況で耐えるしかなかったのです。
子どもには大人の事情はわかりませんから、「自分は誰からも見向きもされない」「自分が相手にしてもらえるのは、怒られるときぐらい」「私は嫌われている」というコア・ビリーフを抱き始めました。
それからというもの、このコア・ビリーフはいろんなところ、いろんな場面で顔を現しました。
小学生のときは、自分がクラスで発言しているときや、周りの子達と話をしているときなどに瞬時にコア・ビリーフが現れ、「自分は関心を持ってもらえない」「私は嫌われている」となどと感じたりしていました。さらに、先生によく怒られもしていたので、「自分は怒られる存在」というコア・ビリーフも加わりました。
こういったコア・ビリーフは、成長とともに信念に変化し、自分が思う言葉自体も変化していきました。この信念があることにより、自分の信念に合致していない人間関係を、無視するか壊すかしてしまう傾向がありました。
その典型的な例として挙げられるのが、彼女ができたときのことです。初めのうちは、その彼女といつも一緒にいて楽しく過ごしていました。しかし、関係が深くなるにつれ、私の内面はどんどん不安になっていきました。「いつ自分の本性を知られて嫌われるのか」「嫌々自分の相手をしてくれているんじゃないか」などという思いが、常に頭をよぎっていました。
そして、その思いは、どんどん二人の関係が壊れるように働いていきました。最後には、別れてしまい「あ~あ、やっぱりな」というお決まりのパターンとなって関係は終息しました。
このお決まりのパターンは、幼少の頃のコア・ビリーフが原因で、大人になり、自分のアイデンティティになってしまっていたのです。このアイデンティティはさらに厄介なことに、「私は嫌われて当然の人間だ」「私は無視されて当然だ」「私はいつも怒られて当然だ」という信念に対して、それが真実であると思わせるような物語を人生の中に組み込ませてきます。
上記の例でいうと、「どんどん二人の関係が壊れるように働いていく」という場面です。関係が壊れるように物事が進んでいく流れの下には、「自分が嫌われる存在」という信念に対する、自分自身の頑な執着があったのです。
前回書いたように、30代後半までの私は、人前では自分のネガティブを無理やり消していたので、こういったコア・ビリーフの信念についても、「大したことではない」として、見向きもしませんでした。しかし、自分自身が苦しめられる出来事が次から次へ出てきたことで、ようやく「自分の人生と向き合わないといけないな」と覚悟を決めたのです。
自分と向き合い始めると、「いま」起こっている問題は「いま」だけの問題ではなく、過去の幼少期に起こった出来事が関係しているということがわかりました。幼少期に抱えたトラウマが、自身のインナーチャイルドを通して、「いま」問題を起こしているのです。
自分の生活の中で、このインナーチャイルドを観察すると、いたるところでインナーチャイルドが出てきていることがわかりました。しかし、わかったからといってすぐにどうにかなるわけではないのです。自分のインナーチャイルドが作り出した信念は、簡単に壊れないように頑丈にからだの中に張り巡らされているのです。だから、一つずつゆっくりと見て、気づいて、その信念をつくり出さずにいられなかった気持ちや状況をわかってあげることが必要です。
まずは、インナーチャイルドが自分の中にいると気づき、大人の自分の中でその存在を認め、観察し、そのインナーチャイルドと一緒にいることから、自分のコア・ビリーフに気づく旅が始まります。
先は長いかもしれません。しかし、その先には、自分の本当に望んでいる人生が待っています。自分が歩みを止めなければ、必ず到達します。
コア・ビリーフの信念を手放し、「自分の本当に望んでいる人生が待っている」という信念に上書きして、進んでいきましょう。
信暁(2024年11月19日)