とどまる、感じる、ひらく

自分に優しくする①

2025年01月05日 15:32

 突然ですが、自分に優しくしていますか?

 こんなことを聞かれて、今しんどい渦中にいる人は「何を言うとんねん」と思うかもしれません。自分に優しくするということは、一見簡単そうに見えて、意外と難しいんですよね。


 生きづらさを感じていた15年ほど前のことですが、実は、私も「自分に優しくする」という言葉を心理学の本で見たとき、頭の中が「???」となったのです。どうすればいいのかまったく分かりませんでした。しかも、「自分に優しくする」ということは、「自分を大切にする」ということであるとも書いてありました。それで、余計にわからなくなりました。


 そこで、私なりに考え、「自分がやりたいことをしよう」と思いました。しかし、やりたいことが見つかりません。やったことと言えば、ミスタードーナツで1個100円で売っている(10年ぐらい前は時々セールでやっていました)ドーナツを5個買って食べるとか、たまには発泡酒ではなくビールを買って飲むといったことぐらいでした。


 こういうことをしていると、少しは気分が晴れましたが、何か違うような気もしてきました。そこで出会ったのが、近藤麻理恵(こんまり)さんの片づけの本でした。簡単に言うと「自分がワクワクできるものに囲まれて過ごす」というものです。

 まずは捨てることからやっていきます。捨てるのは、衣類、本、書類、小物類、思い出の品の順に行います。捨てるときは、そのものを触ってときめくかときめかないかで決めるということでしたが、今まで「これはまだ使える」「これは何かのときに役に立つ」と残しておいたものが多かったので、いざ捨てるとなると時間が掛かりました。しかし、部屋から物が少しずつ減ってくると、自分の気持ちが軽くなっていくのに気づきました。


 気持ちが軽くなると行動にも反映してきました。例えば、休みの日に気ままに自転車で走り回る(そのときは大阪に居たので大阪城や南港の方まで)ということをするようになりました。

 自分の内側の気持ちには、この歳で独り身は寂しい、結婚している人がうらやましい、この歳で独り者は恥ずかしいなどがありましたが、気持ちが軽くなっていくとそんなことも少しずつ気にならなくなり、街でカップルを目にしても気にならないなど、周りの景色も大分変化して見えるようにもなりました。

 あるとき、「これが、自分に優しくすることなのかな」と思いました。


 しかし、片付けでは失敗もあります。自分のワクワクできるものに囲まれて生活をするということを考えすぎて、新しいフライパンを見た瞬間に「これっ!」と反応し、古いフライパンを結構値段のする新しいものに買い替えたのです。けれども、値段の割に使い勝手が悪く、結局捨てる羽目になりました。

単に、ワクワクできるものに囲まれたいという願望だけが先走りしていただけでした。それからは、何か欲しいものが出てきても、本当に欲しいのかゆっくり時間をかけて選ぶようにしています。


 ちょっと脱線しましたが、「自分に優しくする」ということは、自分のやりたいことをしたり、自分の好きなことをするというだけではなく、自分の心というか気持ちというか、自分の内側に刺激を与えることが大事であるということです。

 私の場合は、たまたま片付けが上手くいったのですが、その他のやり方で自分に優しくする方法を見つける方もいると思います。自分のやりたい方法ですることが、自分に優しくすることだと思います。


 自分に優しくするとは、自分の内面に良い変化を与えていくことだと思います。

 そのためには、自分の内面の本当の気持ちに寄り添うことが大事なのではないでしょうか。


このテーマは、次回に続きます。


信暁(2025年1月5日)