東日本大震災のあった2011年は、多くの方にとって転機になった年ではないかと思いますが、ちょうどその前年から、私自身もいままでの生き方ではもうにっちもさっちもいかないという状況にありました。カウンセリングを受けたりしながらもがき苦しんでいた頃、不意に自分の中から自分が喋ったとは思えない言葉が出てきました。そして、そこからその言葉通りに物事が展開していくことになったのです。その事実を目の当たりにしながらも、事実についていけないでいる以前のままの自分がいました。そこでハタと気づきます。これまで自分だと思っていた自分は表面の何かでしかなく、ほんとうの自分は内側にいるあの声を発した自分だと。これからはそちらの自分として生きていかないとダメなんだと。そして、まずそのほんとうの自分とつながることが目標になりました。
カウンセリングではらちが明かないと感じ、箱庭、夢を絵にするなど、言葉を使わないセラピーをいろいろ試しました。そのうちヒプノセラピーにたどり着き、催眠で幼稚園の頃の自分をみているうち、いつのまにかこの世界を離れて、生まれる前の自分(!?)に出会っていました。「それがほんとうのあなたですよ」、そうセラピストさんに言われました。そこからそのセラピストの方に、真の自己について、非二元についてなどいろいろ教えていただき、自分でも瞑想をしたり本を読んだりしながら真実の探究を始めることになりました。
ちょうどその頃、たまたま図書館で手にした『ハコミセラピー タオイズムと心理療法』という本を読み、深く感銘を受け、どうしてもこれをやってみたいと思いました。その本の翻訳者である手塚郁恵さんを訪ねたのは、ちょうど郁恵さんが理事長としてNPO法人マイセラ・ジャパンを立ち上げてからまだ日が浅い頃のことでした。マイセラではハコミセラピーそのものをやっているのではなく、マインドフルネスを軸にしてやっているとのことでしたが、とにかくここで学んでみようと思い、マイセラに通う日々が始まりました。
マイセラではフィールドクリエイター養成講座であるベーシックコース、アクティブコースを受講し、自分のクラス以外にもサポートとして入らせてもらって、とにかくひたすらワークをしました。それと並行して、フォーカシング、ハコミ、プロセスワークなどのトランスパーソナル心理学とよばれる分野に惹かれ、いろいろなワークショップに参加したりして学びを深めていきました。2014年の春にマイセラでフィールドクリエイターに認定され、そこから2019年にマイセラが解散するまでは、フィールドクリエイターとしてたくさんの方々とワークをしてきました。マイセラ解散後は、長く携わってきた書籍の編集の仕事の傍ら、頼まれたときに個人セッションをするといった形で続けてきました。内観と真実の探究は、ずっと変わらず続いています。
人が真剣に自分と向き合う姿や、エゴ(自我)の部分を超えた真の姿を垣間見せてくれるとき、そこにはほんとうの美しさがあります。この世界のひとりひとりが、自分のほんとうの美しさにふれ、そしておたがいの本質である愛としてつながり広がっていくことを願ってやみません。