とどまる、感じる、ひらく

大人の自分がインナーチャイルドを癒す(Vol3)

2025年11月27日 13:14

大人の自分がインナーチャイルドを癒す(Vol1)はこちら

大人の自分がインナーチャイルドを癒す(Vol2)はこちら


 前回は、「『共にある』関係でいることこそが、『大人の自分がインナーチャイルドを癒す』ことに繋がる」とお伝えしました。

 では、この「共にある」関係を保っていくには、どうすればよいのでしょうか?


大人の自分が「いま・ここ」にいること

 それは、大人の自分が「いま・ここ」にいるということが大前提になります。

 もし、「いま・ここ」にいることができなければ、インナーチャイルドに、いとも簡単に飲み込まれてしまいます。

 そうなると、Vol2でお伝えしたように、依存心が台頭し、出てきた症状に悩まされ続け、「やはりわかってくれるのはあの人しかいない」と共依存関係に戻ろうとします。苦しみが苦しみを生むという悪循環に陥ってしまいます。


境界線が生まれるとき

 大人の自分が「いま・ここ」にいるということは、言い換えれば「いまを生きている」ということなのです。

 大人の自分が「いま」を生きているのに対し、インナーチャイルドは「過去」を生きています。その違いをしっかり認識することです。

 それがしっかり認識できれば、大人の自分と、インナーチャイルドの間に境界線が生まれます。境界線ができれば、大人の自分がインナーチャイルドに翻弄されることがなくなります。

 これは、言い換えると、大人の自分とインナーチャイルドとの関係が「共にある」関係だということです。


信頼が育まれる

 この「共にある」関係になると、他人への依存心が薄れ、症状を俯瞰して見ることができるようになってきます。

そうなってくると、「自分を信じることができないのは、当たり前だよね」「それだけ苦しい状態で生きてきたんだもんね」といった、インナーチャイルドに対しての労いの言葉が出てきたりもします。

 それと同時に、「今まで気づいてあげられなくてごめんね」という言葉や、「辛い思いをしながらも、生きてきてくれてありがとう」といった感謝の言葉も出てきます。

 その段階にくると、インナーチャイルドは、ようやく本当に大人の自分を信頼してくれるようになるのです。


癒しの核心 ― 傷の解放

 しかし、信頼が生まれたからといって、それだけで癒しが起こるわけではありません。癒すためには、インナーチャイルドが被った傷を解放させてあげなければいけないのです。

 その傷は、からだに記憶として記録されています。この傷ができたとき、インナーチャイルドは幼く成す術もなく、逃げることもできずに凍りついていたことでしょう。


解放の方法

 この凍りつきを解くためには、そのときの感覚を手掛かりにしていきます。

 このとき、決して当時の状況を詳細に思い出す必要はありません。過去の「嫌だった」「怖かった」「悲しかった」といった感覚を思い出して感じるだけで十分です。

 そして、その出てきた事柄に対して、大人の自分がしっかりとわかってあげることが大切です。

 そのときに「言いたかった言葉」や「やりたくてもできなかったこと」などを一人で声に出してみてもいいですし、紙に書いてみるのもいいです。イメージの中で言ってみたりやってみたりするのもいいでしょう。そうやって解放していくのです。

 もし、セラピーなどを受けている場合は、セラピストに協力してもらって解放していくこともできます。解放することによって、本当の癒しが始まります。


忘れてはならない真実

 ここで忘れてはならないのは、自分のからだに残っている傷は、他人に話をしても解決されないということです。インナーチャイルドが一番わかってほしいのは、他の誰でもなく「大人の自分」なのです。だからこそ、大人の自分を試すようなことばかりをしてきたのです。


大人の自分がインナーチャイルドを癒す

 大人の自分が「いま・ここ」にいて、インナーチャイルドを受け入れることによって信頼が生まれます。この信頼を土台として、傷を解放してあげるということが、インナーチャイルドを癒すことに繋がります。


 癒しをもたらすことができるのは他人ではなく、あなた自身しかいません。

 インナーチャイルドを癒すことができるのは、「大人の自分」しかいないのです。


信暁(2025年11月27日)